she | 彼女

なくなった部分について思い出す、もしくは、2つの物体を接合する最良の方法

 

本作品は、2つの欠けたコンクリート片の失われた部分を、論理的に補完しようとする試みである。


「欠けたコンクリート片」という語は、そのコンクリート片が割れたこと、そして、割れた破片・部分が失われてしまったことを言明している。私たちが、あるコンクリート片を、「欠けたコンクリート片」と同定するとき、私たちはそこに、そのコンクリート片が本来の姿でないことを、そして、その本来そうであっただろう姿を見るのである。しかしながら、私たちは、その本来そうであっただろう姿をどのようにしてみるのだろうか、また、その姿は本当にそうであったのだろうか。


2つの欠けたコンクリート片の失われた部分は、3Dスキャンによって抽出された断面から、すべて演繹的に補完される。断面の自然なモーフィングから得られる形状をもとに、Gyroidという極小曲面をベースとした幾何学パターンによって形態を生成する。生成された形態は有限要素解析によって仮想的な荷重試験にかけられ、破損した箇所には構造を補完する物体が付着する。


これらのプロセスはすべてコンピュータ上で自動的に行われ、生成されたオブジェクトは3Dプリントされることによってはじめて、物体としての質を持つ。つまりこれらのプロセスにおいて、コンクリート片の破損によって失われた部分は、それが失われたとき、つねにすでに、コンピュータによって補完されるのである。


こうしたプロセスを経て補完された、つまり、本来そうであっただろう姿を取り戻したコンクリート片は、端的にいって異形である。それは当然に、2つのコンクリート片が同一のものであったと前提した誤謬、そして、その補完プロセスが、本来それが持つべきであった造形論理から乖離している点にある。私達は、こうした前提の誤認によって、にもかかわらず論理的に構築されたプロセスに関心がある。こうしたプロセスがコンピュータによって論理的に遂行される時、コンピュータのパラノイア的側面が暴かれる。異形は、誤謬の自走によって生成されるのである。

 





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http://issuu.com/gohomeearliers/docs/130618_materializing_essey

LOCATION :東京芸術大学陳列館 マテリアライジング展

DATE :2013.06.08 – 23

MATERIAL :コンクリート, アクリル樹脂, 木材

SUPPORT :しぶや図工室



gh/e