i saw a girl with a telescope

異なる事態が同所的同時的に展開すること、それらが連関しているように思われること、もしくはそれらすべてが全く関係ない事態に思われること

 

この作品は,新宿区初台にあるNTTインター・コミュニケーション・センターの展示,磯崎新|都市ソラリス展に出展され,2013年12月14日から翌年1月13日まで展示された.この展示は,磯崎新の最新のプロジェクト”鄭州都市計画”をきっかけとして,これまでのアーキテクチャ論を超える新たな都市像を考える場として企画された.展示名称にも掲げられた”都市ソラリス”は,アンドレイ・タルコフスキーの映画”惑星ソラリス”を参照していて,まるで意思を持った全体かのように振る舞う,不可思議な存在としての都市というものについて言及している.

 

このような都市,複合的で不可思議なもの,の複雑性,不可視(全貌不可能)性はどこから来るのか.建築家クリストファー・アレグザンダーは,彼の著書において,その実際について非常に鮮やかに説明している.

 

“バークレイのヒーストとユークリッドの街角にドラッグストアーがあり,そのドラッグストアーの外に信号がある.ドラッグストアーの入り口の新聞スタンドにその日の新聞が並んでいる.赤信号のあいだ道路を横断しようとする人々は陽を浴びてなんとなく待っている.所在なく目についた新聞スタンドの新聞を眺める.信号を待つ間見出しを読む人もいるし,実際に新聞を買う人もいる.このことは新聞スタンドと信号が関連していることを表す.新聞スタンド,並べられた新聞,人々のポケットからダイムスロットへ入る金,日向に立ち止まって新聞を読む人,交通信号,信号を変える電流の変化,人々の立っている歩道,これらすべ てが作用している.”

 

これは,都市空間において,もしくはそれ以外のすべてにおいても,複数の事物が,同時刻に同じ場所に存在することによって,強制的に連関してしまう,もしくは連関しているように思われてしまう,ということである.

 

この作品は,3つの無関係な,しかし各々がインタラクティブな作品群からなるインスタレーションである.1つは,ラワン合板とフエルト製のピースからなる構築物.鑑賞者は自由に参加して,ピースを組み上げたり,壊したり,移動させたりすることができる.2つめは,周辺状況のセンシングによって生成される映像と音響.距離センサを用いて周辺をセンシングし,群れのアルゴリズムを用いて映像や音響を生成する.そしてさいごに,音を計測して,その結果から発泡スチロールの塊を切削する装置.これら3つの作品は,各々が独立しているが,時を同じくして同じ場所に存在することによって,相互に連関しあう.”風が吹けば桶屋が儲かる”の喩え話のように,1つめの出来事が2つめ,3つめの出来事へと転化していく,と説明することもできるし,それぞれの出来事が総当り的に連関しあっている,と説明することもできる.どちらも正しいといえるし,どちらも間違っているともいえる.作品における構造は,その瞬間瞬間における各要素のふるまいによって更新されるからである.この作品においては,構造は,予め計画され組織化された総体ではなく,出来事の集合によって,事後的に組織される全体である.

 


http://issuu.com/gohomeearliers/docs/isgwt_lr

LOCATION :NTTインター・コミュニケーション・センター 磯崎新|都市ソラリス

DATE :2013.12.14 – 2014.01.14

MATERIAL :合板, 土木用フエルト, 他



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